(※古い情報)メモ 2016-05-03【Affinity Designer】Photoshop CS4からみたAffinity Designer 1.4.1
2016/06/22
新しいバージョン(1.5)が出るため、この記事は古くなりました。
Affinity DesignerはIllustratorの機能の他にPhotoshopの機能も持っている。チュートリアルビデオを見たあと、手持ちのPhotoshop CS4 *1の本に沿って同じことができるか試してみた。
概要
機能
Affinity Designer 1.4.1はPhotoshop CS4と以下のような共通点と相違点がある。
同等のことが可能 | できないこと *2 |
---|---|
・サイズや解像度の変更 ・画質のバランス調整 ・レイヤー効果 ・マスク/クリッピング ・範囲選択 ・自動選択ツール ・ラスター(およびベクトル)ブラシ ・スライス書き出し ・主要ファイル形式インポート/エクスポート |
・不要物の消去/修復 ・縦書きや日本語組版 ・フィルタ加工/合成処理 ・自動処理やプラグイン追加 ・オブジェクトの自由な変形 ・RAW現像 ・Adobe製品との連携 ・3D ・AI形式書き出し |
操作感
Affinity Designerの操作感はPhotoshop CS4と似ているが慣れが必要な違いもある。
いいと感じた点
- 入力モードが日本語でもショートカットが効く。😊
- ほぼすべての操作でリアルタイムプレビューされる。😊
- レイヤーパネルでサムネイルをドラッグする位置によって容易にマスクやクリッピングができる。😊
慣れが必要な点
- ズームツールを右に動かすと拡大。左に動かすと縮小。ALTキーを押しながらドラッグすると指定範囲で拡大。(CS5以降と同じ)
- ダークUIは最初はきつく感じる。
- 「ペルソナ」 → パレットのワークスペース切り替えのように、ツールバーのボタン構成が切り替わる。*3
- コマンドキーとドラッグで複製。(ALTでも可能)😰
- シェイプや変形等でコマンドキー同時押しで基準点を中心にする。(ALTでは不可)😰
- ツールのショートカットキーを二度押すと直前のツールに戻る。(コマンドキーで移動ツールにならないので、Vの二度押しを使う。)😰
- テキスト入力はESCで確定、コマンドキーを押しながらEnterキーでカーブ化。😱
テスト環境
基本操作
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) | 参考画像 |
---|---|---|---|---|
画像の表示倍率を変える | ズームツール | o | 左右ドラッグ操作で拡大縮小 (CS5以降のスクラブズームと同じ) |
|
見たい部分を表示する | 手のひらツール | o | バードアイビューとフリックパンはなし | |
画像ウィンドウを操作する | タブ表示/分離モード/パレット類の表示・非表示 | o | 複数ウィンドウの整列機能はなし | |
操作を取り消す | 操作の取り消し・やり直し | o | Zによる一段階繰り返しはなし |
色調の補正
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) | 参考画像 |
---|---|---|---|---|
色調補正の基本操作 | 色調補正パネル | o | ・色調補正プリセットはなし ・直接適用はパネル中の「結合」ボタン ・エフェクトパネルより全オプションが設定できるレイヤエフェクト画面の方が便利 |
|
画像の明るさを調整する | 明るさ・コントラスト | o | 自動コントラストはなし | |
ヒストグラムで色調補正する | レベル補正 | o | ・自動補正、スポイト選択はなし ・ヒストグラムパネルはなし |
|
トーンカーブで色調補正する | トーンカーブ | o | 自動トーン補正、スポイト選択はなし | |
露光量を変えたような効果を出す | 露光量 | o | オフセットとガンマのオプションはなし →ガンマはレベルパネルで可能 |
|
画像の彩度を調整する | 自然な彩度 | o | 彩度のオプションはなし | |
画像の色を大きく変更する | 色相・彩度 | o | スポイト選択、色相の統一はなし | |
画像のカラーバランスを調節する | カラーバランス | o | ||
シャドウ部のつぶれを補正する | シャドウ・ハイライト | o | 詳細オプションはなし | |
カラーフィルタをかけたような効果を出す | レンズフィルタ | o | カメラ用語を使ったプリセットはなし | |
部分的に色を変える | 色の置き換えツール | x | ||
赤目を修正する | 赤目修正ツール | x | ||
部分的に明るさを変える | 覆い焼きツール・焼き込みツール | o | ||
部分的に彩度を変える | スポンジツール | x | ||
諧調豊かなモノクロームの画像にする | 白黒 | o | プリセットはなし | |
サイケデリックな色調を加える | グラデーションマップ | o | プリセット、保存機能はなし | |
イラストのような色調にする | ポスタリゼーション | o | ||
複数の画像で色調を揃える | カラーの適用 | x | ||
部分的に色調を補正する | レイヤーマスク | o | レイヤー右クリック→「マスクの編集」 |
画像の加工
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) | 参考画像 |
---|---|---|---|---|
画像の不要な部分をカットする | 切り抜きツール | o | ・ベクトル切り抜きツールから加工してコピー後新規ファイル ・遠近法オプションはなし |
|
画像を必要なサイズにする | 画像解像度 | o | ||
カンバスの大きさを変える | カンバスサイズ | o | ドキュメント設定の「オブジェクトの動作」→「ページに固定」 | |
画像の背景だけを変形する | コンテンツに応じて拡大・縮小 | x | ||
部分的にぼかす | ぼかしツール・指先ツール | o | ||
部分的にくっきりさせる | シャープツール | o | ||
画像をくっきりとさせる | スマートシャープ | ^ | 画面全体に対するフィルタはなし | |
簡単に不要な被写体を消し去る | スポット修復ブラシツール | x | ||
サンプルを使って画像をきれいにする | 修復ブラシツール | x | ||
不要なものを消す | パッチツール | x | ||
ノイズを軽減する | ノイズを軽減 | x | ノイズ関連のフィルタはなし | |
画像の一部を複製する | コピースタンプツール | x | ||
遠近感に合わせて画像を複製する | Vanishing Point | x | ||
元画像を変更せずにフィルタを適用する | スマートフィルタ | x | ||
画像をぼかす | ぼかしフィルタ | x | ・画像全体に対するフィルタはなし ・ぼかしツールはあり |
|
水に映ったような加工をする | ジグザグ(変形)フィルタ | x | ||
絵画調の画像にする | 水彩画(アーティスティック)フィルタ | x | ||
好きなところを絵画調にする | アートヒストリーブラシツール | x | ||
画像の一部を加工前の状態に戻す | ヒストリーブラシツール | x | ||
過去の状態を保存しておく | スナップショット | o | ||
CGアート風の画像を作る | エッジの光彩(表現手法)フィルタ | x | ||
照明を当てたように加工する | 照明効果(描画)フィルタ | x | ||
フィルタを重ねて適用する | フィルタギャラリー | x | ※そもそもフィルタ自体がない | |
レンズのゆがみを補正する | レンズ補正(→変形ツール) | x | ||
画像を自由に変形する | ゆがみフィルタ | x |
画像の合成
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) | 参考画像 |
---|---|---|---|---|
選択した範囲を移動する | なげなわツール・移動ツール | o | 移動ツールで別ウィンドウのファイルにドラッグすることは不可 | |
画像の大きさを調整する | 自由変形 | x | ・ゆがみや一つのコーナーのみが不可 ・拡大縮小・回転は可能 |
|
合成した画像を自然になじませる | 消しゴムツール | o | ||
一度に背景を消す | マジック消しゴムツール | x | ||
四角や丸の選択範囲を作る | 長方形選択ツール・楕円形選択ツール | o | 選択範囲の(自由な)変形はなし | |
選択範囲を追加・削除する | 選択範囲の追加と削除 | o | ||
複雑な画像を素早く選択する | クイック選択ツール | o | ||
選択範囲の境界線を整える | 境界線を調整 | o | ||
自動的に画像を選択する | 自動選択ツール | o | メニューから[選択]→[サンプリングされたカラーを選択...」 | |
選択したい部分を抽出する | 抽出(プラグイン) | x | ||
柔らかい形の選択範囲を作る | クイックマスク | o | 「選択範囲の調整」より可 | |
くっきりとした形の選択範囲を作る | パス | o | 塗りありにしてレイヤーサムネイルを⌘ + クリック | |
選択範囲を反転して画像を選択する | 選択範囲を反転 | o | (Shift + ⌘ + I) | |
選択範囲を保存する | 選択範囲を保存 | x | ||
選択範囲の中に画像を合成する | 選択範囲内へペースト (注:レイヤーマスクになる) |
o | [編集]→[内側に貼り付け] *4 | |
複数の画像を合成する | レイヤー | o | ||
合成画像の一部を隠す | レイヤーマスク | o | ||
合成画像を透明にする | レイヤーの不透明度 | o | ||
画像を劣化させずに変形する | スマートオブジェクト | x | 当該レイヤを書き出して外部ファイルにしておけばよい。 | |
立体に合わせて画像を合成する | ワープ([編集] → [変形]) | x | ||
合成画像に立体感を出す | レイヤースタイル | o | ||
画像の位置を揃える | レイヤーの整列と分布 | o | ||
合成画像の表示を隠す | レイヤーの表示・非表示 | o | ||
レイヤーの状態を記録する | レイヤーカンプ | x | ||
合成画像をまとめる | レイヤーのリンク・結合 | x | グループ化やラスタライズはあり |
文字の入力と装飾
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) | 参考画像 |
---|---|---|---|---|
文字を好きな位置に入力する | 文字ツール | o | ・縦書き不可 ・ESCで確定、コマンド+Enterでカーブ化 |
|
文字の大きさを変える | 文字のサイズ | o | ||
書体を変える | フォント | o | ||
文字の間隔を調整する | 行送り | o | 禁則処理はなし | |
文字の色を変える | 文字色 | o | ||
立体的な文字を作る | レイヤースタイル | o | ||
文字にスタイルを適用する | スタイルパネル | o | プリセットは少ない | |
文字のスタイルをキャンセルする | スタイルを消去 | x | 手動で効果を外していくしかない | |
文字をゆがめる | ワープテキスト | x | ||
パスに沿って文字を入力する | テキストパス | o | ||
画像を文字の形に切り抜く | 文字マスクツール | x | レイヤーパネルでテキストレイヤーのサムネイルをマスクしたい画像のサムネイルの右にドラッグすれば可 |
イラストの描画
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) | 参考画像 |
---|---|---|---|---|
イラストの色を選ぶ | スウォッチパネル | o | ||
自由に色を選ぶ | カラーピッカー | o | 色の警告表示機能はなし | |
オンラインでカラーを選ぶ | Kuler | x | ||
画像から色を選択する | スポイトツール | o | ||
くっきりとした線を描く | 鉛筆ツール | o | ・鉛筆ツール(ベクトル) ・ピクセルツール(ラスター) |
|
柔らかい線を描く | ブラシツール | o | ・ベクトルブラシツール(ベクトル) ・ペイントブラシツール(ラスター) |
|
複雑な線を描く | ブラシパネル | o | ||
タブレットでイラストを描く | タブレットサポート | o | 筆圧オプションあり(実機未検証) | |
不要な部分を消す | 消しゴムツール | o | ・ベクトルはマスクされる ・ラスターは消去される |
|
色で塗りつぶす | 塗りつぶしツール | o | (ピクセルペルソナの塗りつぶしツールで塗り残しが出るときは許容量を調整する) | |
部分的に塗りつぶす | 塗りつぶし | o | ・選択範囲全域を塗りつぶすときは許容量を高めにする ・透明度はカラーパネルで指定 |
|
レイヤー全体を塗りつぶす | 塗りつぶしレイヤー | o | ・カラーオーバーレイ・グラーデョンオーバーレイで可 ・パターンはなし |
|
グラデーションを使う | グラデーションツール | o | ・選択範囲にグラデーションオーバーレイをかけるときはあらかめじ塗りつぶしツールで何か塗りを設定しておく ・複数のオブジェクトにグラーデーションオーバーレイをかけるときはグループ化する |
|
同じ模様を繰り返し描く | パターンスタンプツール | x | ||
図形を描く | シェイプツール | o | ベクトル ※ドーナツ形ツールも扇型 |
|
自由な形の図形を描く | ペンツール | o | ベクトル | |
図形の位置や色を変更する | パスコンポーネント選択ツール | o | ベクトル |
Web用画像の作成
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) | 参考画像 |
---|---|---|---|---|
Webおよび携帯電話用に画像を保存する | Webおよびデバイス用に保存 | o | Device Centralはなし | |
Web用に画像をスライスする | スライスの作成 | o | URLリンクはなし | |
Web用アニメーションを作る | アニメーションを作成 | x | ||
高解像度のWeb画像を作成する | Zoomify | x | ||
画像でホームページを作る | Webギャラリー | x | ||
PDFファイルを作成する | PDFで保存 | o | ||
Flashと連携する | Flash CS4との連携 | o | PSD形式でエクスポートする | |
Dreamweaverと連携する | Dreamweaver CS4との連携 | ^ | ・PSD読み込みは可 ・コピー&ペーストは不可 |
設定・自動処理・その他
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) | 参考画像 |
---|---|---|---|---|
自分の使いやすい設定にする | 環境設定 | - | ||
使いやすいパネルの位置を保存する | ワークスペースの保存 | x | ||
メニューをカスタマイズする | メニューのカスタマイズ | x | Adobe Configuratorもなし | |
キーボードショートカットをカスタマイズする | キーボードショートカットのカスタマイズ | o | ||
画像のカラーモードを変更する | カラー設定 | o | ||
目的に合わせて保存形式を変える | ファイル形式 | o | PNG、JPEG、GIF、TIFF、PSD、PDF、SVG、EPS | |
ガイドや定規を利用する | ガイド・定規・グリッド | o | ||
プリンタでプリントする | プリント | o | ||
1枚の用紙に複数の画像をプリントする | PDFコンタクトシート | x | ||
スキャナで画像を取り込む | 画像の読み込み(スキャナ) | x | ||
取り込み画像を一度にファイルにする | 角度を補正して切り抜き | x | ||
Illustratorのデータを取り込む | Illustrator CS4との連携 | o | 詳細制限事項は不明 *5 | |
Camera Rawデータを調整して開く | Camera Raw | ^ | 開くのみ | |
露出の異なる写真を合成する | HDRに統合 | x | ||
ピントが異なる画像を合成する | レイヤーを自動合成 | x | ||
集合写真を補正する | レイヤーを自動整列 | x | ||
パノラマ写真を作る | Photomerge | x | ||
複雑なアルファチャネル作成、他 | [イメージ]→[演算…] | x |
Photoshop Extended
操作項目 | ツールや機能の名称 (Photoshop CS4) |
Affinity Designer 1.4.1 |
備考(Affinity Designer) |
---|---|---|---|
2D画像を3Dモデルに加工する | レイヤーから新規シェイプを作成 | x | |
3Dファイルを読み込む | 3Dレイヤー | x | |
3Dモデルを操作する | 3Dツール | x | |
3Dモデルを編集する | 3Dパネル | x | |
3Dモデルをレンダリングする | レンダリング | x | |
アニメーションの作成とムービーの編集をする | アニメーション(タイムライン) | x | |
画像を計測する | 計測ツール/カウントツール | x |
【改訂履歴】
2016-06-10 参考画像を追加
*1:『Photoshop CS4マスターブック Extended対応 for Mac & Windows』(TART DESIGN OFFICE著、毎日コミュニケーションズ、2009年)
*2:Affinity Photoで可能となる項目がある。
*3:個人的にはペルソナ機能があるならばAffinity Photoを統合してほしかった。
*4:親オブジェクトの子レイヤーになりマスクされる。新規レイヤーを作って選択範囲に何か塗りを設定しておくとオプジェクトになるので実行できる。(選択範囲だけだと親オブジェクトが空なので不可)
*5:手持ちのファイルは開けたが、会社が違うので完全な互換性は期待できないと思う。